COLUMN
皮膚科
美容皮膚科
公開日
2025.10.15
更新日
2026.1.3

こんにちは、北堀江LA皮膚科クリニック 院長の竹澤です。
朝晩の空気が少しひんやりしてきて、秋の訪れを感じますね。
この季節になると、「最近抜け毛が増えた気がする」「髪が細くなった」「分け目が気になる」——そんなご相談をよくいただきます。
実は、秋は一年の中でも抜け毛が増えやすい季節。
その理由には「夏のダメージの蓄積」「朝晩の寒暖差による自律神経やホルモンの変化」「栄養バランスの乱れ」など、さまざまな要因があります。
とはいえ、髪は「ヘアサイクル(毛周期)」に沿って日々生え変わるもの。一定の抜け毛は自然な現象です。
ただし、
急に抜け毛が増えた
短く細い毛が抜ける
毛根が尖っている
といった変化が続くときは注意が必要です。身体の内側にトラブルが隠れているサインかもしれません。
脱毛の原因は、生活習慣やストレスによるものから、自己免疫・感染症・ホルモンの変化までさまざまです。
原因が異なれば、必要な治療や対策もまったく変わってきます。
このコラムでは、
正常な抜け毛と異常な抜け毛の見分け方
脱毛セルフチェック
医学的な治療が必要となる脱毛症
加齢やホルモン変化に関係する脱毛症
を中心に”脱毛症の全体像”をわかりやすくまとめました。
「この抜け毛、放っておいても大丈夫?」「病院に行ったほうがいいの?」
そんな疑問をお持ちの方にとって、正しい判断のヒントになれば幸いです。
髪には「ヘアサイクル(毛周期)」があり、毛周期の「退行期」や「休止期」に入った毛は自然に抜け落ちます。
この毛周期に沿って、1日50〜100本程度の抜け毛があることは正常範囲内ですので、毎日抜け毛があるからといって過度に心配する必要はありません。

また、自然に抜けた毛では毛根に丸みのある白い膨らみ(毛球)がみられることも多くあります。これは生え変わりが順調に進んでいるサインです。
ご自身の抜け毛が、正常かどうか心配になったときは、一度抜け落ちた毛の毛根部分を確認してみるといいかもしれません。

一方で、次のような抜け毛が目立つ場合は注意が必要です。
抜ける本数が急に増えた(シャンプーやドライヤーの後にごっそり抜ける)
短く細い毛が多い(髪が十分に成長できていない状態)
毛根に丸みがなく、先が尖っている(頭皮のトラブルや病気が原因の可能性)

こうした抜け毛が続くと、髪のボリュームが減ったり、分け目が広がって見えたりします。頭皮がすけて見えるなど、薄毛につながることも。
また異常な抜け毛が続く背景には、病気が隠れていることも考えられます。
まずは簡単なセルフチェックで確認してみましょう。

※上記はあくまで参考であり、診断の代わりとなるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関を受診してください。
次の章からは代表的な脱毛症について、それぞれの特徴や原因をわかりやすく解説していきます。
抜け毛の中には、生活習慣や加齢がかかわる抜け毛とは異なり、医学的な治療が必要な“病気としての脱毛症”があります。
ここでは、医師による診断と治療が推奨され、保険診療の対象となる代表的な脱毛症をご紹介します。
いずれも原因や見た目の特徴が異なり、適切な診断と早めの対応が大切です。

ある日突然、境界がはっきりした円形の脱毛斑が現れるのが特徴です。
症状が進行すると、下記の分類のように脱毛範囲が広がっていきます。
軽症では自然に治ることもありますが、広がったり再発を繰り返したりする場合は医療機関で適切に治療することをおすすめします。
主な原因:免疫の働きが誤って自分の毛根(毛包※)を攻撃してしまうため。
主な治療:ステロイド、光線療法(紫外線療法)、JAK阻害薬(内服薬)などを組み合わせて行います。
※毛包:毛根を包みこんでいる部分で、髪を作り出す役割。

円形脱毛症についてはこちらもあわせてご覧ください。
▶【円形脱毛症#1】症状と原因を解説|ストレスや免疫の関係とは
▶【円形脱毛症#2】治療法を解説|保険でできる3つの治療
子どもに多く見られ、頭皮にフケやかさぶた、赤みを伴う脱毛が起こります。進行すると毛穴のまわりに、膿がたまったニキビのような小さなブツブツが出てくることも。
毛が途中で切れ黒い点(断裂毛)が見えることもあり、円形脱毛症と似ていますが、炎症やかさぶたを伴う点で区別されます。
主な原因:白癬菌(カビの一種)による感染。
主な治療:抗真菌薬の内服が基本。
塗り薬だけでは治りにくいため、早期治療が重要です。

強い炎症・やけど・外傷などによって、髪を作り出す毛包が破壊される脱毛症です。
毛包そのものが消失してしまうため、基本的に一度抜けた毛は再生しないとされています。
主な原因:感染や炎症、外傷などによって毛包が壊れてしまうこと。
主な治療:ステロイド剤などで炎症を抑え、これ以上の脱毛を防ぐことが中心。
早期発見・早期治療が何より大切です。

ストレスや不安がきっかけとなり、無意識に髪を抜いてしまう脱毛症です。トリコチロマニアと呼ばれることもあります。
脱毛部は不規則な形になり、毛の長さがバラバラに見えるのが特徴。眉毛やまつ毛にも出ることがあります。
主な原因:心理的ストレスや強迫的な習慣。
主な治療:薬ではなく、心理療法やカウンセリングが中心。
必要に応じて精神科と連携して治療を行います。

ここまでご紹介したものは、病気が原因で医学的な治療が必要になる脱毛症でした。
ただし実際には「病気なのか年齢のせいなのか分からない」と迷われる方も多いと思います。
そこで続いては、加齢やホルモンの変化がかかわるタイプの脱毛について解説します。
年齢とともに髪のボリュームやハリ・コシが少しずつ減っていくのは自然な変化です。特にホルモンバランスの影響は大きく、男女ともに「薄毛」の大きな原因になります。
これらは病気というより身体の変化として現れるため、保険診療ではなく自由診療での治療が中心です。
ここでは代表的な「男性型脱毛症(AGA)」と「女性型脱毛症(FAGA)」を解説いたします。
AGAは成人男性に最も多い脱毛症で、家族に薄毛の方がいる場合は起こりやすい傾向があります。
脱毛の進行にはいくつかのパターンがあり、
おでこの生え際が後退するM字型
頭頂部が薄くなるO字型
それらが組み合わさった複合型
などが代表的です。

主な原因:男性ホルモンの一種が体内で変化してできる「DHT※」という物質が毛根に影響を与え、毛の成長期を短くしてしまうことが主な原因とされています。
主な治療:内服薬や塗り薬が中心です。
これらを継続することで、進行を抑えたり発毛を促す効果が期待できます。
最近では、副作用リスクを抑えた新しい治療選択肢も登場しています。
※DHT:ジヒドロテストステロン
AGAについてはこちらも合わせてご覧ください。
▶【AGA(男性型脱毛症)#1】髪が抜ける原因を解説|ホルモンと遺伝の関係とは
▶【AGA#2】進行タイプと治療法を解説|前髪・頭頂部が薄くなる理由とは
FAGAは、女性に多くみられる脱毛症で、男性のように生え際が後退するのではなく、
分け目が広がる
髪全体が細くなる
といった形でゆるやかに進行するのが特徴です。

主な原因:更年期以降の女性ホルモン「エストロゲン」の低下。
ホルモン変化に加えて、加齢・ストレス・睡眠不足・栄養バランスなども関係します。
主な治療:塗り薬が基本で、必要に応じてホルモンバランスを整える内服薬を併用することもあります。
また、髪のボリュームを自然にカバーできるウィッグやスタイリングの工夫を組み合わせることで、生活の質を保つことも大切です。
FAGAについてはこちらも合わせてご覧下さい。
▶【FAGA(女性型脱毛症)#1】女性の薄毛の特徴と原因|ホルモンと生活習慣の関係とは
▶【FAGA#2】治療の選択肢を解説|あなたに合った薄毛ケアの選び方
「抜け毛が増えた気がする」「髪が細くなってきたかも」——そんな変化に気づくと、不安になりますよね。
けれど、一言で「抜け毛」「薄毛」といっても、その背景には身体の変化・ホルモン・生活習慣など、さまざまな要因が関わっています。
見た目が似ていても、原因が違えば治療法も異なります。
だからこそ大切なのは、自己判断で「きっと大丈夫」と片づけず、まずは専門医に相談してみることです。
「市販の育毛剤を試してみたけど効いてるのかな…」
「ストレスのせいかも…」
と放置してしまうと、治療のタイミングを逃してしまうことも。
抜け毛治療において成功への近道は、早期に原因を見極め、適切な治療を始めること。
これはすべての脱毛症に共通する大切なポイントです。
現在は、医学的根拠に基づいた治療法が数多く存在します。
保険診療で対応できる脱毛症から、AGA・FAGAのような自由診療の薄毛まで、専門医に相談しながらあなたに合った方法を選ぶことができるのです。
もし「抜け毛が気になる」「髪に元気がなくなってきた」と感じたら、北堀江LA皮膚科クリニックにご相談ください。
皮膚科専門医が頭皮や髪の状態を丁寧に診察し、あなたに合った治療の方向性をご提案します。
髪と向き合うことは、これからの自分と向き合うことでもあります。
小さな一歩でも、早めの相談が未来の髪を守る力になるでしょう。
それではまた、次のコラムで。
参考文献
[1] 円形脱毛症診療ガイドライン策定委員会. 円形脱毛症診療ガイドライン2024, 日本皮膚科学会雑誌. 2024; 134(10): 2491-2526.
[https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/AAGL2024.pdf(2025年10月12日閲覧)]
[2] 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン作成委員会. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版, 日本皮膚科学会雑誌. 2017; 127(13): 2763-2777.[https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf(2025年10月12日閲覧)]
[3] 日本皮膚科学会: 皮膚科Q&A 脱毛症 [https://qa.dermatol.or.jp/qa11/index.html(2025年10月12日閲覧)]
[4] 日本毛髪科学協会: 髪の寿命(ヘアサイクル) [https://www.jhsa.jp/hair-skin-knowledge/hair-knowledge/hair-lifecycle/(2025年10月12日閲覧)]
[5] 日本毛髪科学協会: 毛髪にまつわるQ&A [https://www.jhsa.jp/hair-skin-knowledge/hair-q-and-a/(2025年10月12日閲覧)]
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