COLUMN
美容皮膚科
公開日
2025.12.16
更新日
2026.2.15

こんにちは、北堀江LA皮膚科クリニック 院長の竹澤です。
歳を重ねるうちに、
髪が細くなって、ふんわりしにくくなった
ボリュームがなくペタンとする
地肌が透けて見えるようになった
こうした変化に気づく方は少なくありません。
女性にとって、髪が抜けて地肌が見えるようになるのはとてもつらいものです。
実はこうした、女性の“じわじわ広がる薄毛”にはFAGA(女性型脱毛症)という医学的な名前があります。
AGA(男性型脱毛症)は耳にしたことがあっても、FAGAはまだあまり知られていないかもしれません。
「F=Female(女性)」に起こるAGA、とイメージしていただくと分かりやすいでしょう。
※近年では「FPHL(女性型脱毛症:female pattern hair loss)」という国際的な病名が用いられることもあります。
このコラムでは、
女性の薄毛の特徴
FAGAの原因と発症のメカニズム
について詳しく解説します。
「年齢のせい」と片づけてしまいがちな髪の悩みですが、生活習慣の見直しや適切な治療によって進行を緩やかにすることが期待できます。
「もっと早く知っていればよかった」と後悔しないために、まずは正しい知識を持つことから始めましょう。
FAGAの治療法について詳しく知りたい方は、こちらも合わせてご覧ください。
▶【FAGA#2】治療の選択肢を解説|あなたに合った薄毛ケアの選び方
FAGAは、以下のような変化として現れることが多いです。
分け目が広がってくる
頭頂部のボリュームが減り、地肌が透けて見える
髪が細くなる、コシやハリがなくなる
このように、髪全体が“うっすら”と薄くなっていくのが特徴です。

女性の薄毛の原因はFAGAだけではありません。
たとえば、
円形脱毛症
産後脱毛症
牽引(けんいん)性脱毛症(髪を強く結ぶなどの物理的負荷)
などもよく見られるタイプです。
FAGAとの見分けがつきにくいケースもあるため、正確な診断が重要です。

他の脱毛症について詳しく知りたい方は、こちらも合わせてご覧ください。
▶抜け毛の原因を正しく知ろう|治療と対処法が分かる基本ガイド
▶【円形脱毛症#1】症状と原因を解説|ストレスや免疫の関係とは
FAGAは、
女性ホルモンと男性ホルモンのバランスの変化
遺伝的な体質
生活習慣の乱れ
といった複数の要因が重なり合って発症します。
「女性なのに男性ホルモン?」
と疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、女性の体にも少量ながら男性ホルモンが存在しています。
FAGAは本質的に、
更年期などで女性ホルモン(エストロゲン)が減少することより、相対的に男性ホルモンの影響が強く現れてくる
ーーーこれがFAGAを引き起こすメカニズムです。
▼女性のホルモン変化のイメージ

エストロゲンには、
髪の成長期を保つ
髪のハリ・コシ・ツヤを保つ
といった働きがあります。
そのため、エストロゲンが減少すると髪が細く・弱くなっていくのです。
ところが、女性のホルモンバランスはライフステージによって大きく変化します。
出産後
月経不順が続いているとき
更年期にさしかかる40代以降 など
こうした時期に男性ホルモンの影響が前に出やすくなるのです。
男性ホルモンの影響はAGAと共通していて、次のようなメカニズムで起こります。
男性ホルモンが頭皮でより強い働きをする物質(DHT)に変わる
DHTが髪の根元の“スイッチ”と結びつき、スイッチが入る
スイッチが入ることによって「そろそろ髪の成長を止めて」と指示が出る
生えてくる髪の成長期間が短くなり、少しずつ細く・短い毛になっていく


つまり、
「女性ホルモンが減ってくる → 髪を守る力が弱くなる → 髪が細く・弱くなりやすい」という流れから、髪が抜けやすくなる土台が作られる
そこに、男性ホルモンの影響によってさらに脱毛しやすい環境が促進される
といった感じです。
AGAの仕組みをさらに詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてみてください。
▶【AGA(男性型脱毛症)#1】髪が抜ける原因を解説|ホルモンと遺伝の関係とは
FAGAには「ホルモンバランスの変化」という土台がありますが、その上に“なりやすくなる条件”がいくつか重なることで、薄毛として現れてきます。
その条件が「遺伝的な体質」と「生活習慣の乱れ」です。
【遺伝的な体質(なりやすさ)】
家族の中に「髪が細くなりやすい人」「分け目が目立つ女性」がいる場合、似た体質を受け継いでいる可能性があります。
これは“薄毛そのもの”が遺伝するというよりも、
ホルモンバランスの変化に影響を受けやすい
髪が細くなりやすい・コシがなくなりやすい
といった“なりやすさ”が似ている、とイメージしていただくと良いでしょう。
しかし「家族に薄毛がいる=必ずFAGAになる」わけではありません。
体質はあくまで要因のひとつです。
【生活習慣の乱れ】
具体的には、栄養バランスの乱れ・睡眠不足・ストレスなどになります。
栄養の偏り
→ 髪の材料(タンパク質・鉄・亜鉛など)が不足しやすい
睡眠不足
→ 成長ホルモンなどの分泌が低下し、髪を作る力が弱まる
強いストレス
→ 自律神経が乱れ、頭皮の血流が低下しやすくなる
これらの要素が重なると、髪の成長サイクル自体が乱れやすくなります。
ここで大切なのは、
生活習慣は「直接の原因」というより「悪化させやすい環境要因」
という位置づけで捉えることです。
「少しでも思い当たることがある」という方は、まずは生活習慣を見直すことから始めてみましょう。
それが、セルフケアや治療へつなげる第一歩になります。
FAGAの治療について知りたい方は、次のコラム
▶【FAGA#2】治療の選択肢を解説|あなたに合った薄毛ケアの選び方
をご覧ください。
【参考文献】
[1] 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン作成委員会. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版, 日本皮膚科学会雑誌. 2017; 127(13):2763-2777.
[https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf(2025年12月10日閲覧)]
[2] 日本皮膚科学会: 皮膚科Q&A 脱毛症[https://qa.dermatol.or.jp/qa11/index.html(2025年12月10日閲覧)]
[3] Burger HG. Fertil Steril. 2002; 77 Suppl 4: S3-5.
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