COLUMN
美容皮膚科
公開日
2025.11.18
更新日
2026.1.3

こんにちは、北堀江LA皮膚科クリニック 院長の竹澤です。
最近「髪のボリュームが前より減ってきた気がする」「抜け毛が増えたかも…」と感じることはありませんか。
こうした変化の背景には、AGA(男性型脱毛症)と呼ばれる脱毛症が関係していることがあります。
AGAは男性ホルモンの影響で髪が細く短くなり、少しずつ薄毛が進行していく病気です。
成人男性に最も多い脱毛症で、家族に薄毛の方がいる場合に起こりやすい傾向があります。
「年齢のせいかな」と思われがちですが、実際には体質・ホルモンバランス・生活習慣など、複数の要因が絡んでいます。
このコラム(#1)では、AGAの原因やメカニズムをできるだけわかりやすく解説します。
髪の変化に不安を感じている方の一助になれば幸いです。
AGAの治療について知りたい方は、
▶【AGA#2】進行タイプと治療法を解説|前髪・頭頂部が薄くなる理由とは
▶AGA(男性型脱毛症)・FAGA(女性型脱毛症)
も参考にしてくださいね。
男性の薄毛「AGA」は、ある日突然起こるものではありません。
結論から言うと、
AGAは「DHT(ジヒドロテストステロン)」という男性ホルモンが、毛包(もうほう:毛を作る組織)にある“受容体”と結びつくことで発症
その後、髪の成長が抑えられ、細く・短くなることが積み重なりながら進行していく
ものです。
その過程には次の3つの段階があります。
テストステロンがDHTに変わる
DHTが毛包の受容体に結合する
成長が抑えられ、毛が細くなる
男性ホルモンの一つである「テストステロン」は、体の中で「5α(アルファ)リダクターゼ」という酵素によって、より作用の強いホルモン「DHT(ジヒドロテストステロン)」に変換されます。

この酵素は本来、男性らしさ(声変わり・体毛の発達・筋肉の形成など)をつくる重要な働きをしています。しかし、頭皮の一部ではこの変換が過剰になることでDHTが増えすぎ、薄毛の原因につながるのです。
DHTが作られたからといって、それだけで抜け毛が起こるわけではありません。
ポイントとなるのは、DHTが毛包にある”男性ホルモン受容体”に結合することです。
この受容体は、ホルモンの信号を受け取る“鍵穴”のような存在。
DHTという“鍵”がこの”鍵穴”にぴったりはまると、毛包の中で「成長を止めるスイッチ」が入ってしまいます。


この「DHT+受容体」の結合体は、毛包内にある毛を作る細胞(毛母細胞)の働きを弱め、髪の“成長期”を短くします。
その結果、
太く長い毛が育ちにくくなる
毛包が徐々に小さくなる(ミニチュア化)
産毛のような細い毛が増える
この変化の積み重ねが、「ボリュームが減った」「地肌が透けて見える」といった変化として現れます。

AGAはホルモンの影響が大きい脱毛症ですが、「遺伝的な体質」「生活習慣」も進行に関係しています。
AGAの直接的な原因は「DHT」「5αリダクターゼ」「男性ホルモン受容体」の3つです。
ただし、これらは量や働きやすさに個人差があり、その差には遺伝的な体質が関係していると考えられています。
たとえば、
5αリダクターゼの働きが強い人 → DHTが多く作られやすい
男性ホルモン受容体が敏感な人 → DHTの影響を受けやすい
このようにDHTの影響を受けやすい体質を持つ人ほど、AGAを発症しやすい傾向があります。
ただし「遺伝がある=必ず薄毛になる」わけではありません。
生活習慣の見直しや早期の治療で、進行を抑えられる可能性があります。
AGAはホルモン(DHT)の影響が主な原因ですが、生活習慣も”進行を左右する要因”のひとつです。
良い生活習慣が頭皮に良い環境の維持に役立つ一方で、
不規則な生活やストレスの多い環境は、症状を悪化させるきっかけにもなります。
特に次のような生活習慣には注意が必要です。
【ストレス・睡眠不足・偏った食事】
強いストレス → 自律神経が乱れ、頭皮の血流が低下
睡眠不足 → 成長ホルモンなどの分泌が低下し、髪を作る力が弱まる
栄養の偏り → 髪の材料(タンパク質・鉄・亜鉛など)が不足しやすい
生活の乱れは、髪そのものが育つ力を弱める原因になることがあります。
【髪の土台を整える頭皮ケア】
AGAを完全に防ぐことはできませんが、頭皮環境を整えることは髪が育ちやすい“土台づくり”につながります。
洗浄力が強すぎないシャンプーを選ぶ
爪を立てず指の腹でやさしく洗う
ドライヤーは熱を当てすぎず、清潔に乾かす
紫外線対策(帽子・日傘)で頭皮の炎症を防ぐ
風呂上がりに数分の頭皮マッサージで血流を促す
こうしたケアは直接AGAを治すわけではありませんが、健康な髪を維持する土台となります。
AGAの治療について知りたい方は、次のコラム
▶【AGA#2】進行タイプと治療法を解説|前髪・頭頂部が薄くなる理由とは
をご覧ください。
【参考文献】
[1] 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン作成委員会. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版, 日本皮膚科学会雑誌. 2017; 127(13):2763-2777.[https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf(2025年11月14日閲覧)]
[2] 日本皮膚科学会: 皮膚科Q&A 脱毛症 [https://qa.dermatol.or.jp/qa11/index.html(2025年11月14日閲覧)]
[3] Houfar Sekhavat, et al. Int. J. Mol. Sci. 2025, 26(21), 10712
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