COLUMN
美容皮膚科
公開日
2025.11.18
更新日
2026.2.15

こんにちは、北堀江LA皮膚科クリニック 院長の竹澤です。
前回のコラム【AGA#1】では、男性の薄毛「AGA」がどのように起こるのか、その原因についてお話ししました。
今回の【AGA#2】では、
・どこから薄くなるのか(進行パターン)
・どう治していくのか(治療の基本)
・なぜ早めの治療が大切なのか
を、できるだけわかりやすく整理してお伝えします。
AGAは本人が気づかないうちに進むことがある病気です。
そして、進行期間が長くなるほど髪の再生が難しくなるケースも。
ですが、毛をつくる“毛包”が生きている段階で治療を始めれば、改善が期待できる可能性があります。
「まだ大丈夫かな…」と感じている今こそ、相談を考えるタイミングかもしれません。
あなたの髪を守るための第一歩として、ぜひ参考にしてください。
AGAの原因を知りたい方は、前回のコラム
▶【AGA(男性型脱毛症)#1】髪が抜ける原因を解説|ホルモンと遺伝の関係とは
もあわせてご覧ください。
AGAは、薄くなりやすい部位によって大きく3つのタイプに分けられます。

M字型(生え際後退タイプ)
おでこの両端が少しずつ後退していくタイプ。
「おでこが広くなった」「前髪が細くなった」と感じたら、このタイプの初期サインです。
O字型(頭頂部タイプ)
つむじ周辺の髪が細くなり、地肌が透けて見えるようになるタイプ。
鏡では気づきにくく、家族や美容師に指摘されて気づくこともあります。
複合型(M+Oタイプ)
前頭部と頭頂部の両方が進行するタイプ。
進行が早いこともあり、放置すると広い範囲に薄毛が広がることがあります。
こうした進行パターンには個人差がありますが、共通しているのはDHT(ジヒドロテストステロン)の影響が強く出る部分から薄くなりやすいという点です。
AGAに深く関係するのが、男性ホルモン「テストステロン」をより強い作用のある「DHT」に変える酵素「5α(アルファ)リダクターゼ」です。

5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型の2種類あり、働く場所が異なります。
Ⅰ型:皮脂腺や全身の皮膚に多くあり、皮脂や頭皮環境に関与
Ⅱ型:毛乳頭細胞(特に前頭部や頭頂部)に多く、AGAの進行に強く関与
特にⅡ型が活発な部位ではDHTが多く作られやすく、毛が細く短くなりやすくなります。
一方、後頭部や側頭部はⅡ型が少ないため、DHTの影響を受けにくく髪が残りやすいという特徴も。
その結果、「生え際から薄くなる」「つむじが目立ってくる」といったAGA特有の進行パターンが現れるのです。
また、DHTの働きは体の部位によっても異なります。
ヒゲ・体毛:DHTの刺激で太く濃くなりやすい
頭髪:DHTが毛包を萎縮させ、細く短くなりやすい
つまりDHT自体は悪者ではなく、作用する場所によって影響がまったく違うということです。
AGAの治療は、
進行を抑える治療(守り)
髪を育てる治療(攻め)
この2つを組み合わせるのが基本です。
今回紹介する3つの治療薬は、専門医によって作成されるガイドラインでも推奨されており、AGA治療の中心となる薬剤です。
DHTが毛包に作用すると、毛の成長が妨げられ、細く短い毛に置き換わっていきます。
このDHTを作り出すのを防ぐのが、5αリダクターゼ阻害薬(フィナステリド・デュタステリド)です。
この2つの治療薬は、抑える酵素の範囲が異なります。
フィナステリド:主にⅡ型5αリダクターゼを抑える
デュタステリド:Ⅰ型とⅡ型両方の5αリダクターゼを抑える
デュタステリドはより広くDHTを抑えられるため、フィナステリドより効果を実感しやすいという報告もあります。ただ、そのぶん副作用が出やすくなる可能性があるため、定期的な検査と医師による丁寧なフォローが欠かせません。

どちらの薬も“抜け毛の進行を抑える”守りの柱であり、効果を感じるまでには数か月かかります。
医師の指導のもと、継続して使用することが重要です。
また「フィナステリド」や「デュタステリド」は男性専用の薬で、女性(特に妊娠中・授乳中)は禁忌とされています。ご家族やパートナーに薄毛の悩みがあっても、これらの薬をすすめるのは避けましょう。
抜け毛を防ぐだけでは不十分で、細くなった髪を太く育てるための治療が必要です。
その役割を担うのが、ミノキシジル。
ミノキシジルは頭皮の血流を改善し、毛母細胞を活性化させて髪の成長期を延ばすことで髪の成長を助けます。

フォームタイプ・液体タイプがあり、生活スタイルや頭皮の状態に合わせて選べます。
フォームタイプ:泡で塗りやすく、べたつきが少ない。
液体タイプ:浸透しやすいが、肌への刺激が出る場合も。
使用を始めてから6か月で変化を感じる場合が多く、焦らず続けることが大切です。
AGAで抜け落ちた髪を見て「もう生えてこないのでは」と感じる方は少なくありません。
しかし、希望を捨てる必要はありません。
実はAGAで髪が抜けても、毛包が生きている場合は再び髪を作り出す力が残っています。
毛包は「髪の工場」のような組織で、DHTの影響で活動が一時的に止まっているだけのことも多いのです。
ただし、長期間放置すると毛包の働きが弱まり、治療に反応しにくくなります。
そのため、「毛包が生きているうちに治療を始める」ことが何より大切です。
北堀江LA皮膚科クリニックでは、頭皮の状態や進行度を丁寧に診断し、あなたの体質・生活スタイルに合わせた治療法をご提案しています。
「これはAGAかもしれない」
「最近抜け毛が増えた気がする」
──そんな小さな気づきが、治療を始めるサインです。
一人で悩まずに、どんな些細なことでもまずは一度ご相談ください。
今ならまだ、あなたの髪を取り戻す力が残っているかもしれません。
それではまた、次のコラムで。
【参考文献】
[1] 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン作成委員会. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版, 日本皮膚科学会雑誌. 2017; 127(13):2763-2777.[https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf(2025年11月14日閲覧)]
[2] 日本皮膚科学会: 皮膚科Q&A 脱毛症 [https://qa.dermatol.or.jp/qa11/index.html(2025年11月14日閲覧)]
[3] Houfar Sekhavat, et al. Int. J. Mol. Sci. 2025, 26(21), 10712
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