COLUMN
皮膚科
公開日
2025.11.5
更新日
2026.2.15

こんにちは、北堀江LA皮膚科クリニック 院長の竹澤です。
前回のコラム#1では、円形脱毛症の症状や原因について解説しました。
今回はその続編として、皮膚科で行う円形脱毛症の主な治療法をわかりやすく紹介します。
円形脱毛症は保険診療で治療できる病気です。
「どんな治療があるの?」
「どのくらい通えばいいの?」
そんな疑問を持つ方に向けて、治療の流れとポイントをまとめました。
治療を始めるタイミングの目安についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。
症状や原因について知りたい方は、前回のコラム
▶【円形脱毛症#1】症状と原因を解説|ストレスや免疫の関係とは
もあわせてご覧ください。
円形脱毛症の治療は、症状の範囲や進み方によって選択肢が変わります。
軽い症状の方から、広い範囲で進行している方まで、それぞれに合った治療法があります。
毛包がまだ元気なうちに治療を始めることで、回復の可能性が高まります。
ここでは、主な3つの治療法をわかりやすく紹介します。
最もよく使われるのが、ステロイド(副腎皮質ホルモン)による治療です。
ステロイドには免疫の過剰な反応を落ち着かせる作用があり、毛包が攻撃されるのを防ぎます。
外用薬(ぬり薬):
軽い症状に使われ、1日1〜2回、脱毛部分に直接塗ります。
局所注射:
外用薬で十分な効果が得られない場合に、脱毛部分へ少量を注射します。より高い効果が得られる場合があります。
内服薬(飲み薬):
重症例で全身的に免疫を調整する必要がある場合に使用されます。副作用のリスク(むくみ・感染・血圧上昇など)があるため、慎重に使用されます。
外用薬・局所注射のステロイド治療は保険診療で受けられ、医師の判断で安全性に配慮して行われます。
「外用薬や注射で効果が十分でない」「脱毛範囲が広い」など、症状が進行している場合には、紫外線を使った光線(こうせん)療法という治療が検討されることがあります。
比較的ゆっくりと長い経過をたどるケースに行われることが多く、他の治療と組み合わせて行うことが一般的です。
光線療法で使われる紫外線(UVB)には、過剰な免疫反応を鎮める働きがあることが知られています。この作用を利用して脱毛斑の炎症を鎮め、発毛を促すことを狙います。
【光線療法の特徴】
有効な波長だけを使用:
使われる紫外線のUVB波長は、治療に有効とされる非常に狭い範囲の波長域の光だけに絞られています。不要な紫外線を浴びることを減らし、やけどや発がん性のリスクを抑えられるため、安全性は比較的高いと考えられています。
標的照射:
ピンポイントで照射できるため、正常な皮膚への影響を最小限に抑えることができます。
簡便で痛みを感じにくい:
射時間は数秒から数十秒と非常に短く、痛みや熱さをほとんど感じにくいと言われています。
光線療法には以下のような種類があります。
ナローバンドUVB療法:広範囲を照射。アトピーや乾癬の治療にも使われる
エキシマライト療法:小型装置でピンポイント照射。狭い脱毛斑に使われる
エキシマレーザー療法:より高出力での照射が可能。導入施設は少ない
当院では、照射範囲を細かく調整できるターゲット型ナローバンドUVB治療器「ターナブ(TARNAB)」を導入しています。
照射部位を絞ることができるので、周囲の正常な皮膚をできるだけ守りながら治療できるのが特徴です。
「ナローバンドUVB療法」「エキシマライト療法」は円形脱毛症で保険適用となる治療法です。
週1〜2回ほど通院し、他の治療と合わせて行うことになります。

近年、重症の円形脱毛症に対して有効性が報告されているのが「JAK(ジャック)阻害薬」という新しい内服薬です。
免疫の反応は、いくつもの経路を通じてリレーのように情報を伝えていくのですが、
JAK阻害薬はその情報伝達の流れの一部をピンポイントに止めることで、毛包への誤った攻撃を抑えることが期待されています。
日本では現在、円形脱毛症に保険適用のあるJAK阻害薬が2種類あります。

有効性が報告されていますが、その分、副作用(感染症・肝機能異常など)のリスクもあるため、定期的な血液検査や医師の慎重な管理が欠かせません。
当院では系列グループのリベ大総合クリニック大阪院と連携し、治療中の体調や検査結果をしっかり確認し、継続できる体制を整えています。
円形脱毛症は、適切な治療を行うことで改善が期待できる病気です。
ただ「どのタイミングで受診すればいいの?」と迷う方も多いでしょう。
たとえば次のような場合は、皮膚科を受診する目安になります。
脱毛の範囲が広がってきた
眉毛・まつ毛にも症状が出てきた
3か月以上変化がない
早めに専門医に相談することで、進行を抑えながら回復を目指すことができるでしょう。
回復には個人差がありますが、目安としては数か月〜1年かけて少しずつ改善するケースが多い印象です。
一方で、再発率が約3〜4割と比較的高いことも知られています。
だからこそ、日々の生活習慣を整えることが大切です。
【セルフケアのポイント】
ストレスをため込みすぎないようにする
睡眠と栄養をしっかりとる
洗浄力が強すぎるシャンプーや熱いお湯は避け、頭皮を清潔に保つ
入浴後の軽い頭皮マッサージで血行を促す
こうしたセルフケアは、治療の効果をサポートし、再発予防にもつながります。
とはいえ、頑張りすぎなくても大丈夫です。
「見た目の変化がつらい」
「いつ治るのか不安」
そんなときは、どうか一人で抱え込まないで私たちに相談してください。
北堀江LA皮膚科クリニックでは、
ステロイド外用・局所注射などの基本的な治療
痛みの少ない光線療法
重症例に対する治療選択肢 JAK阻害薬
など、学会などで専門医によって作成されるガイドラインを参考に治療を検討しています。
また、患者さんの生活習慣や心の状態にも目を向けながら、お一人おひとりに合わせたケアを心がけています。
小さな変化でも構いません。
どんな些細なことでも、気になることはお気軽にご相談ください。
あなたの髪と心が少しずつ安心を取り戻せるように—— 私たちがしっかりサポートいたします。
それではまた、次のコラムで。
【参考文献】
[1] 円形脱毛症診療ガイドライン策定委員会. 円形脱毛症診療ガイドライン2024, 日本皮膚科学会雑誌. 2024; 134(10): 2491-2526.
[https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/AAGL2024.pdf(2025年11月4日閲覧)]
[2] 日本皮膚科学会: 皮膚科Q&A 脱毛症 [https://qa.dermatol.or.jp/qa11/index.html(2025年11月4日閲覧)]
[3] Huang Y, et al. J Autoimmun. 2025; 151: 103378.
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