COLUMN
皮膚科
公開日
2026.6.14
更新日
2026.6.12

こんにちは、北堀江LA皮膚科クリニック 院長の竹澤です。
「乾燥肌だから、ちょっとしたことですぐにかゆくなっちゃう」
「子どもの肌荒れ、これってアトピーなのかな?」
「これくらいで皮膚科に行くのもな…市販薬でいいか」
こんなふうに思いながら、皮膚科への受診が後回しになっている方は多いと感じています。
乾燥肌や敏感肌と思っていたものが、実は軽症のアトピー性皮膚炎だということも少なくありません。
でも、「少しだから」と様子を見ているうちにかゆみや炎症を繰り返してしまい、症状が長引いてしまうこともあります。
そこでこのコラムでは、軽症アトピーの症状や放置リスク、治療を皮膚科専門医がわかりやすく解説します。
アトピー性皮膚炎は、症状の程度と範囲によって「軽症・中等症・重症・最重症」の4段階に分けられます。
軽症は範囲にかかわらず、以下のような症状がみられる状態を指します。
肌の乾燥やカサつき
うっすらした赤み
軽いかゆみ
細かな皮むけ
強い腫れやジュクジュクはない

アトピー性皮膚炎では、次のようなかゆみと炎症による悪循環が起こります。

💭「少しのかゆみだし、我慢できるよ」
💭「少し赤みがあるだけ」
そう思っていても、見た目では分かりにくい炎症が肌の中で続いていることがあります。
かゆみは夜間にも続くことがあり、寝ている間に無意識にかいてしまうことも。自分の意志だけでこの悪循環を止めることは、実はとても難しいんです。
アトピー性皮膚炎の治療は、
スキンケア(保湿)
薬物療法(炎症を抑えるお薬)
悪化因子の対策(汗・乾燥・刺激など、悪化のきっかけを減らすこと)
という3本柱で進めていきます。
今回のコラムでは薬物療法、特に外用薬(塗り薬)に焦点を当てて解説します。
スキンケアについては、こちらのコラムもご覧ください。
▶【アトピー】どうしても掻いてしまう方に知ってほしいスキンケアの話
アトピー性皮膚炎の治療では、症状の強さや出ている部位、お肌の状態に合わせて外用薬(塗り薬)を選択します。
💭「皮膚科に行くと、すぐ強い薬を出されそう…」
と不安に感じる方もいるかもしれません。
ですが、軽症の場合には、その状態に合わせた治療があります。
外用薬で大切な考え方は、必要以上に強い治療をすることではなく、今起きている炎症を適切に落ち着かせ、良い肌状態を保つことです。
現在、アトピー性皮膚炎の外用薬には、
ステロイド外用薬
非ステロイド系外用薬
など複数の選択肢があります。
ステロイド外用薬は、体の中で炎症を調整しているホルモンに似た働きを利用した塗り薬です。
肌の赤みやかゆみのもとになる炎症をしずめるために使い、アトピー性皮膚炎の治療でも長い実績があります。
炎症の強さ・部位・年齢などに応じて、医師が5段階のランクから選びます。

💭「ステロイドは副作用が怖いから、できれば使いたくない……」
そんなお声を、診察室でもよくお聞きします。
実際ステロイド外用薬には、長く使い続けた場合などに、皮膚が薄くなることや、赤みが出るなどの副作用がみられることがあります。
そのため、自己判断で使い続けたり、反対に必要な場面で避け続けたりするのではなく、症状や部位に合った強さ・量・期間で使うことが大切です。医師の指示のもと適切に使用すれば、炎症を抑えるための心強い選択肢になります。
また、現在は、肌の状態や年齢、症状の程度に応じて、ステロイド以外の塗り薬を選ぶこともあります。
「ステロイドはなるべく使いたくない」と感じている方も、まずは一度肌の状態を診察してもらい、ご自身に合った治療方法を相談してみましょう。
ステロイドを含まない「非ステロイド系外用薬」の代表的なものとして、次のようなものがあります。
プロトピック®軟膏(タクロリムス)
コレクチム®軟膏(デルゴシチニブ)
モイゼルト®軟膏(ジファミラスト)
これらは症状が出ている部位(顔や首など皮膚が薄い部分を含む)や程度によって、治療の早い段階から使用されることもあります。
また、症状が改善したあとも、再発を防ぎ良い状態を維持する目的で使用されることがあります。
それぞれ作用の仕組みが異なるため、症状が出ている部位や年齢などに合わせて選択します。
薬剤名 | どんな薬? | 使用できる年齢 |
|---|---|---|
プロトピック®軟膏 | 免疫の過剰な働きを調整し、皮膚の炎症を抑える薬 | 2歳以上 |
コレクチム®軟膏 | 炎症やかゆみを引き起こす体内の伝達を抑える薬 | 生後6ヵ月以上 |
モイゼルト®軟膏 | 炎症に関わる酵素の働きを抑える薬 | 生後3ヵ月以上 |
市販薬は、乾燥や一時的なかゆみに対して手軽に使えるという良さがあります。
ただし、赤みやかゆみをくり返す場合は、皮膚の炎症が続いていたり、別の皮膚トラブルが隠れていたりすることもあるため注意が必要です。
一方で皮膚科では、症状の強さや出ている部位、肌の状態を確認し、その方に合った保湿剤や塗り薬、塗り方を考えます。
市販薬で一時的によくなってもくり返す場合は、自己判断で続けず、一度肌の状態を皮膚科に相談してみてください。
保湿クリームを塗っているのに、乾燥やかゆみが続く
市販薬を使っても、かゆみがスッキリ収まらない
お子さんの肌荒れが繰り返し起きている
💭「これくらいで皮膚科に行ってもいいのかな……」
と思う段階でも大丈夫です。
むしろ症状が軽いうちに相談することで、今の肌に合った治療やスキンケアを考えやすくなります。
アトピー治療で大切なのは、症状がひどくなってから慌てて治療することではなく、良い状態をできるだけ長く保つことです。
そして、皮膚科は「困ってから行く場所」だけではなく、「悪化させないために早めに相談する場所」でもあります。
気になる赤みやかゆみが続いていて、お近くの方は、ぜひ一度当院にもご相談ください。
▶ 【大阪府西大橋駅徒歩1分】当院のアトピー性皮膚炎治療についてはこちら
▶ 【関連コラム】アトピー性皮膚炎とはどんな病気?(疾患説明シリーズ・近日公開)
【参考文献】
日本皮膚科学会他 編: アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2024, 日本皮膚科学会雑誌. 2024; 134(11): 2741-2843
日本皮膚科学会: 皮膚科Q&A アトピー性皮膚炎
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