北堀江LA皮膚科クリニック -皮膚科・美容皮膚科-

COLUMN

コラム

【アトピー】どうしても掻いてしまう方に知ってほしいスキンケアの話

  • 皮膚科

公開日

2026.6.1

更新日

2026.6.2

親子で笑顔でスキンケアをしているイメージ図

こんにちは、北堀江LA皮膚科クリニック 院長の竹澤です。

「毎日保湿しているのに、なかなか良くならない」
「良くなったと思っても、またすぐに悪くなる」  
「嫌がる子どもをなだめながらケアするのが…… 正直、大変」

アトピー性皮膚炎のスキンケアに取り組まれている方から、診察室でよく聞く言葉です。

頑張っているのに結果が出ない、終わりが見えない——そのしんどさは、本当によくわかります。


このコラムでは、

  • なぜアトピー性皮膚炎は「掻いてしまう」のか

  • 保湿が治療に近い理由

  • 今日からできるスキンケアのポイント


について皮膚科専門医がわかりやすく解説します。

🔸アトピーの肌、中で何が起きているの?

アトピー性皮膚炎は、単なる「乾燥肌」や「敏感肌」ではありません。

アトピー性皮膚炎では、「炎症」「バリア機能の低下」「かゆみ」が互いに悪循環を起こしています。

肌で炎症(=火事)が起こる

肌を守るバリア(=壁)が壊れる  

外部刺激に反応しやすくなり、かゆみが出る
↓ 
掻くことでさらに炎症が悪化する

この悪循環が、アトピー性皮膚炎を繰り返す大きな原因です。


💭 掻いたらダメだとわかっていても、掻いてしまう……
💭「掻かないで!」と、子どもにキツく言い過ぎて後で反省する

アトピー性皮膚炎のかゆみは、意志だけで我慢できるものではありません。特に小さなお子さんにとって、「掻かない」はとても難しいことです。

「掻いてしまう背景には、病気による強いかゆみがある」——そう理解していただくと、自分自身の罪悪感やお子さんへの見方が少し変わるかもしれません。

🔸アトピーの肌が「ふつうの肌」と違う理由

健康な肌は、レンガとセメントのように、細胞(レンガ)が整然と並び、皮脂やセラミドなどの保湿成分(セメント)がその隙間を埋めることで、刺激から肌を守り、水分を逃がさない構造になっています。

ところが、アトピー性皮膚炎の肌では、保湿成分の材料となるタンパク質(※フィラグリン:肌のうるおいとバリア機能を支える成分)が生まれつき少なかったり、炎症によって作られにくくなっていたりします。

その結果——

  • 乾燥しやすくなり、花粉・ダニ・細菌などのアレルゲンが侵入しやすくなる  

  • 免疫がアレルゲンに反応して、炎症が悪化する

という状態が慢性的に続いてしまうのです。

健康な肌で角質層のバリア機能が正常に働き、うるおいを保ち外部刺激をはね返す様子を示したイメージ図
アトピー性皮膚炎の肌でバリア機能が低下し、水分が蒸発しやすく外部刺激が侵入しやすい様子を示したイメージ図


💭「生まれつきそういう肌質なら、ケアしても意味あるの?」

意味は十分にあります。

すべての症状をスキンケアだけで抑えられるわけではありませんが、バリア機能が弱い肌を外から補うことは、治療の大切な土台になります。

保湿剤を選ぶ際は、バリアの材料となるセラミド配合のものかを確認すると良いでしょう。

🔸保湿って、なんでこんなに大事なの?

アトピー性皮膚炎の肌における保湿の役割は、「肌をしっとりさせること」だけではありません。

保湿剤は、肌表面を覆って水分の蒸発を防ぎ、刺激が入り込みにくい状態を作ります。

つまり保湿は「乾燥した時だけ塗るもの」ではなく、バリア機能を補うために毎日続ける治療の一部とも言えるのです。


ただし、赤みやかゆみが強い部位は、まず塗り薬で炎症を落ち着かせることが優先です。炎症が強いまま保湿をしても、改善が難しいためです。

🔸スキンケアで押さえたい4つのこと

① 洗い方——「やさしく、しっかり」が合言葉

  • ぬるめのお湯(38〜40℃)で洗う  

  • 石けん・ボディソープはよく泡立てて、泡で包むように洗う  

  • ナイロンタオルやスポンジは使わず、手のひらで泡を転がすように  

  • 拭くときはこすらず、タオルをそっと押し当てる


アトピー性皮膚炎の肌には、炎症を悪化させる細菌(黄色ブドウ球菌)が定着しやすいため、その菌を洗い流すことがとても大切です。

ただ、力を入れてこすると、摩擦がバリアをさらに壊してしまいます。

泡でやさしく洗うだけでも、汚れは十分落とせるため、よく泡立てた泡で優しく洗いましょう。

泡でやさしく体を洗う女性のイメージ図

② 保湿のタイミングと量——「お風呂上がり10分以内」と「たっぷり」が鉄則

保湿剤は、入浴後10分以内(できれば5分以内)に塗るのが理想です。

入浴時は、汚れだけでなく、バリアを守る皮脂も一緒に洗い流されてしまいます。そのため、お風呂上がりの肌は水分が急速に蒸発しやすく、時間が経てば経つほど乾燥が進んでしまうのです。

量は「少し多いかな?」と感じるくらいたっぷりに

塗った直後に肌がテカっとするくらいが適切とされていています。薄く伸ばしすぎると、バリアの補修効果が十分に発揮されません。

塗り方はポンポンと置いてから、広げましょう。  

関節の内側や首まわりなど、曲がる部位は忘れがちなので意識してください。こすらず、症状がない部位も含めて肌全体に塗るのがポイントです。

「どれくらい塗ればいいかわからない」という方は、FTU(フィンガーチップユニット)という量の目安も参考にしてください。

FTU(フィンガーチップユニット)の説明図。軟膏は人差し指の先から第一関節まで、ローションは1円玉大が大人の手のひら2枚分の塗布量の目安

③ 塗り方——保湿剤と塗り薬、それぞれの役割を意識して

保湿剤は、こすらず肌全体へやさしく広げましょう。手のひらでなでるように塗るのがポイントです。

炎症がある部位には、処方された塗り薬(ステロイド外用薬など)を使用します。

保湿剤と塗り薬の塗る順番にはいくつか考え方がありますが、当院では次の塗り方をおすすめしています。

  • 保湿剤を全身に塗り、その上から炎症のある部分だけに処方された塗り薬を重ねる

先に塗り薬を広い範囲に塗ると、保湿剤を重ねる際に炎症のない部分まで薬が広がってしまうことがあるためです。


ただし、赤みや炎症が強い部分では、保湿剤がしみて刺激になる場合も。そのようなときには無理に保湿剤を重ねず、医師の指示に沿って軟膏タイプの塗り薬のみでケアすることもあります。

毎日続けられる方法を見つけ、保湿習慣を身につけることが大切です。

④ 日焼け止め——アトピーの肌こそUVケアが必要です

「日焼け止めは肌に刺激になりそう」と避けている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、紫外線はバリア機能をさらに低下させる要因のひとつです。炎症を悪化させたり、色素沈着にもつながったりすることもあるため、アトピー性皮膚炎の肌こそ紫外線対策が大切です。

日焼け止めを選ぶ際は以下のポイントを確認しましょう。

  • ノンケミカル・アルコールフリー・無香料・無着色など刺激の少ないもの

  • 落とすときもこすらず泡で洗い流せるもの

日焼け止めで刺激を感じる場合は、帽子や日傘など物理的な紫外線対策から始めるのもおすすめです。

紫外線対策を示した2場面のイラスト。左は母親が子どもの頬にUV日焼け止めを塗っている様子。右は強い日差しの下、女性が日傘をさしている様子。

スキンケアの他にも、綿素材など肌への刺激が少ない素材の服を選ぶことや、爪を短く切るなどにも気をつけられるとより良いですね。

また、乾燥しやすい季節は室内を適度に加湿することも、肌の水分が奪われるのを防ぐうえで大切です。

なお、急に症状が悪化した・膿が出る・水ぶくれができるといった場合は、とびひやヘルペスなどの感染症が合併している可能性があります。
スキンケアで対処できる症状ではないため、早めに皮膚科をご受診ください。

また、スキンケアを丁寧に続けていても、かゆみがつらい・湿疹が繰り返されるという場合は、スキンケアだけでは対処しきれないサインかもしれません。

そのような方には、注射による治療という選択肢もあります。
詳しくは別のコラムで解説していますので、あわせてご覧ください。

▶アトピーの注射治療|3タイプの違いと費用・副作用を皮膚科専門医が解説

🔸まとめ|スキンケアは、治療の「土台」です

スキンケアは、アトピー性皮膚炎の治療を支える土台です。

ただ、そうわかっていても、毎日続けることは本当に大変なことですよね。

「症状が落ち着いてきたから少しサボったら……また悪化してしまった。」

こういった声も診察室でよく聞きます。でも、これは「サボったから悪化した」のではありません。

アトピー性皮膚炎の肌は、症状がない時期もバリア機能が低下した状態が続いているという特性があります。そのため、少しケアが途切れただけで変化が出やすいのです。


完璧を目指す必要はありません。

毎日ご自身の肌と向き合い続けていること——それだけでも、とても大切なケアです。

「何を塗ればいいかわからない」
「子どもが嫌がって続かない」
「この状態で受診したほうがいいの?」

北堀江LA皮膚科クリニックでは、そんな日々の悩みも含めて、一緒に整理していければと思っています。
気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

▶当院のアトピー性皮膚炎治療についてはこちら






【参考文献】
[1] 日本皮膚科学会他 編: アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2024, 日本皮膚科学会雑誌. 2024; 134(11): 2741-2843
[https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/ADGL2024.pdf(2026年5月閲覧)]
[2]厚生労働省 リウマチ・アレルギー情報: 平成22年度リウマチ・アレルギー相談員養成研修会テキスト「アトピー性皮膚炎の概要と基本的治療」. [https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-03.pdf(2026年5月閲覧)]
[3]厚生労働省 リウマチ・アレルギー情報: 平成22年度リウマチ・アレルギー相談員養成研修会テキスト「アトピー性皮膚炎(小児)発症・悪化因子の検討」. [https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-04.pdf(2026年5月閲覧)]

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